~長寿企業が生み出す安定と革新のシナジー~
就職活動では、どうしても新興企業やスタートアップに注目が集まりがちです。短期間で急成長を目指す企業の勢いは魅力的ですし、若い社員が多くチャレンジングな社風という印象も強いでしょう。しかし、その一方で、創業130年以上といった長い歴史を持つ企業も数多く存在します。これらの老舗企業は、「なんだか古い体質なのでは?」「新しいことに取り組んでいないのでは?」と思われるかもしれませんが、実際には常に時代の変化に対応しながら、挑戦を続けてきた歴史があるのです。
本記事では、「創業130年以上の歴史×新しい視点で挑戦中」というテーマを掲げ、老舗企業の魅力や強み、そして実際に新たな取り組みを進めている事例について詳しく取り上げます。北九州市小倉南区に本社を置く小倉運送株式会社をご紹介しながら、老舗物流企業がいかにして新時代へ対応しているのかをお伝えしていきます。就活生のみなさんが「老舗企業も選択肢に入れてみようかな」と思うきっかけになれば嬉しいです。
「創業130年以上」と聞くと、やはり最初に思い浮かぶのは安定感ではないでしょうか。長い間事業を継続するためには、景気や社会情勢の変化に対応する柔軟性や経営力が必要です。創業後まもないスタートアップの場合は成長の伸びしろが大きい一方で、経営基盤がまだ整っていなかったり、資金繰りが不安定である場合も考えられます。その点、長寿企業は財務基盤が堅固で、不況時にも耐えうる仕組みを持っていることが少なくありません。
また、長年にわたる企業活動を通じて、顧客や取引先からの信頼が厚いことも大きな強みです。今まで積み上げてきたブランド力や実績があるため、新しいプロジェクトを立ち上げる際にも周囲からの協力を得やすく、ビジネス展開をスムーズに進められるケースが多いのです。
「歴史が長い企業=保守的」というイメージを持っている就活生もいるかもしれません。しかし、実際には長く続いているからこそ、常に時代に合わせて変化してきたとも言えます。企業が何十年、あるいは100年単位で存続するためには、社会の大きな変動や技術革新を乗り越えなければなりません。そこで必要なのは、むしろ柔軟な発想や挑戦を恐れない姿勢なのです。
たとえば、創業当時は紙ベースだった情報管理をデジタル化したり、国内だけだった販売ルートを海外に拡大したり、製造業なら最新の生産技術を取り入れるなど、老舗企業だからこそ長い年月をかけて培われたノウハウと実績を武器に、新しい視点を取り込んできました。
スタートアップのイメージと比較すると、老舗企業は「頑固な企業文化があって若手の意見を取り入れてくれなさそう」と思われることもあります。しかし、長寿企業は代替わりや世代交代のタイミングで大きく変化するチャンスを常に持っています。3代目、4代目の若い経営者がAIやIoT、SNSといった新しいツールを活用し、現代の消費者ニーズに合わせたビジネスを展開している例も数多く存在します。
就活生にとって、老舗企業で働くことは「歴史や伝統を学べる」だけでなく、「企業としての新しい成長フェーズを実現する一翼を担える」機会とも言えます。安定感と改革意欲を両立しながら、社会に根ざしたビジネスを展開している老舗企業を見つけ出すことで、キャリアを長期的に築いていくうえで大きなアドバンテージになるでしょう。
本記事で具体的に取り上げるのは、小倉運送株式会社という北九州市小倉南区に本社を構える物流企業です。小倉運送が正式に設立されたのは1950年ですが、その起源となる「増井組」の創業は1891年にまでさかのぼります。小倉運送は130年以上の歴史を持つ“超”老舗企業なのです。
「運送」という社名から、トラック輸送を中心としたイメージを抱く方が多いかもしれません。ところが、小倉運送では以下のように非常に幅広い物流サービスを手がけています。
1. 鉄道:鉄道貨物輸送に関わる業務全般
2. 運送:一般貨物自動車運送事業(トラック輸送やトレーラー輸送)
3. 倉庫:荷物の保管・管理、在庫コントロールを担う倉庫業
4. 港湾:港湾運送事業(港湾荷役)
5. 構内:工場敷地内や構内での物流業務・荷役作業
これだけ多彩な事業領域を持つことで、一つの分野に依存せず、時代のニーズに合わせて柔軟にシフトできる体制を整えています。たとえば、鉄道輸送が注目されれば鉄道部門を強化し、需要が高まれば港湾事業や倉庫事業を拡大するなど、絶えず変化する社会や経済に対応できる土台があるのです。
北九州市は古くから工業都市として発展し、港湾や貨物駅といった物流インフラが非常に整っている地域です。小倉運送は、この地域の特性を最大限に活かしながら、鉄道や船舶を利用してビジネスを展開しています。また、北九州の企業が世界各国と取引を行う際にも、物流面でのサポートが必要なので、まさに「地域密着×グローバル視点」をバランスよく融合しているのが特徴です。
現代の物流業界は、ドライバー不足や環境問題(CO₂排出量の削減など)という大きな課題を抱えています。小倉運送では、それらの課題を解決すべく、トラック輸送だけでなく鉄道や海上輸送を組み合わせたモーダルシフトを積極的に推進しています。モーダルシフトとは、輸送手段を複数活用することで、運送の効率化や環境負荷の低減、ドライバーの負担軽減を図る方法です。
• Sea&Railサービス:海上輸送と鉄道輸送を組み合わせ、大量の貨物を一度に運ぶことで、トラックの運行距離を減らし、CO₂排出量を削減
• ドライバー不足への対応:長距離輸送部分を鉄道や船舶がカバーすることで、ドライバーの拘束時間を短縮し、労働環境の改善につなげる
このように、古いからといって昔ながらの方法だけに頼るのではなく、新しい視点を積極的に取り入れる姿勢が見られるのは、まさに老舗企業が生き残るための戦略とも言えます。
小倉運送の環境への貢献〜モーダルシフト〜の記事はこちら
老舗企業というと、どうしても「地味」「伝統的」というイメージを持たれがちですが、小倉運送では**「まるこくん」**というマスコットキャラクターを活用し、SNSやイベントを通じて自社の活動を発信しています。
• まるこくんのモチーフ:北九州の夏の風物詩「小倉祇園太鼓」
• 目的:地域文化を大切にしつつ、若い世代にも親しんでもらうブランド戦略
こうした取り組みは、老舗企業が新しいマーケティング手法を積極的に取り入れている好例です。「昔からの会社だから仕方ない」と現状維持に満足するのではなく、若い世代にも魅力を伝える工夫を欠かしていない点が注目できます。
前述のとおり、小倉運送では「鉄道」「運送」「倉庫」「港湾」「構内」という5つの事業を展開しています。これは、「物流=トラックドライバー」というイメージを大きく覆すものです。事務・営業・運行管理・倉庫管理・港湾関連の荷役作業など、多彩な業務に携わるチャンスがあるのは、就活生にとって大きな魅力でしょう。
• 営業職:クライアントに最適な物流プランを提案し、受注を獲得する
• 運行管理職:ドライバーのシフトや配送計画、安全管理を行う
• 事務・総務・経理:企業全体のバックオフィスを支える
• 現場管理:倉庫や港湾、工場構内での作業マネジメントを担う
それぞれの分野で、若い世代にとって大きなやりがいがあり、スキルアップの幅も広がることが期待できます。
老舗企業は長期的な安定感がある一方、時代の変化に対応するためのイノベーションも欠かせません。小倉運送のように、モーダルシフトやSNS活用など新しい取り組みを積極的に行っている企業は、若手にとって「自分のアイデアが会社の新事業につながる可能性」が十分にある魅力的な職場です。
• 安定性:何十年、あるいは100年以上続いてきた企業だからこそ持つ信用とブランド
• 変革余地:時代に合わせて新規事業や改善活動に取り組みやすい土壌
「大きく変化を起こせる環境」と「安心して働ける環境」のどちらも大切だと考える就活生にとっては、老舗企業はまさに“いいとこ取り”の選択肢になるでしょう。
北九州市は工業都市としての歴史が深く、地域の企業や住民同士が強い結びつきを持っていることでも知られています。小倉運送は、そのような地域の産業や生活を支える重要なインフラとしての役割を果たしてきました。地元密着型の企業で働く魅力としては、次のような点が挙げられます。
• 地域の行事やお祭りと連携:まるこくんをはじめ、地元文化を盛り上げる活動を積極的に実施
• 雇用創出と経済活性化:地元の雇用を支えることで、地域全体の発展に寄与
• 社会貢献活動:地元の学校やNPOとの連携、環境保全への取り組みなど
「地元に貢献したい」「地域を盛り上げる仕事がしたい」という思いを持つ就活生にとっては、老舗企業で働くことが大きなやりがいにつながります。
老舗企業は、創業時の理念や価値観を大切にしていることが多いです。これが企業文化や経営方針の基礎となっているケースは珍しくありません。就職活動の際には、企業のホームページやパンフレット、創業者のメッセージなどをしっかりと確認し、「なぜこれほど長く続いてきたのか」「創業当時からどのような想いを受け継いでいるのか」を理解することが大切です。面接でも、「企業の歴史をきちんと調べてきたんだな」と好印象を与えられるでしょう。
「老舗企業は堅苦しそう」「同じやり方をずっと続けているだけでは?」というイメージは、実際に企業ごとに大きく異なります。たとえば、小倉運送のようにSNSやキャラクターを使った広報戦略、モーダルシフトの推進などを行っている企業もあれば、デジタル化が遅れている企業もあるでしょう。
そのため、就職活動時には最新のニュースリリースやブログ、SNSなどをチェックし、どんなプロジェクトやキャンペーンに取り組んでいるのかを見てみてください。そこに“新しい視点”を見出せるなら、老舗企業であっても改革意欲が旺盛だと考えられます。
老舗企業ほど、会社説明会や工場見学、インターンシップなどを丁寧に行っているケースが多いです。これは、創業からの歴史や経営理念をしっかり伝えたいという想いからでもあります。こうした機会に参加すれば、実際に働いている社員の雰囲気や職場環境をじかに感じられるでしょう。たとえば、ベテラン社員と若手社員のコミュニケーションの様子や、働きやすさの工夫など、ネット上だけではわからない情報が得られます。
もし可能であれば、OB・OG訪問やインターンなどを通じて体験するのもおすすめです。老舗企業の中には、実はとても風通しが良く、新しい取り組みに対してオープンな風土を持っているところが少なくありません。
「創業130年以上の歴史×新しい視点で挑戦中」というタイトルは、一見相反する要素が交錯しているようにも思えます。しかし、実際には長寿企業だからこそ、これまでに積み上げてきた信用やノウハウを土台に、新しい視点やテクノロジーを柔軟に取り入れる力を持っています。小倉運送株式会社のように、モーダルシフトや地域文化とのコラボなど、現代的な取り組みを積極的に進めている老舗企業は少なくありません。
就活生のみなさんにとって、大切なのは「企業の歴史が長いから安定している」だけで終わらせるのではなく、「その歴史を活かして、これからどんな挑戦をしようとしているのか」を見極めることです。以下のような観点で企業を調べてみると、意外な魅力や可能性が見えてくるでしょう。
1. 企業理念や創業者の想い:どんな価値観が受け継がれているのか
2. 現代的な課題への取り組み:環境問題やDX、社会的課題へのアプローチなど
3. 社風や人材育成方針:多世代が協力し合い、若手が活躍できる場があるか
4. 地域との関係性:地元密着型なのか、全国・海外展開も視野に入れているのか
老舗企業は、一見堅実そうに見えても、実は新卒や若手社員に大きな役割を任せてくれることがあります。伝統やブランド力を守りながら、新しいアイデアや技術を取り込むために、若い力が必要だからです。つまり、創業130年以上の歴史×新しい視点こそが、企業を今後何十年、何百年と存続させるエンジンになると考えられます。
もし皆さんが「安定とチャレンジの両立がしたい」「歴史ある企業で、自分のアイデアを活かしてみたい」と思うなら、老舗企業にもぜひ目を向けてみてください。小倉運送株式会社のように、新しい取り組みを積極的に行っている事例は数多く存在します。自分自身の成長だけでなく、会社や地域全体を盛り上げる働き方ができるのは、老舗企業ならではの醍醐味といえるでしょう。
本記事では、「創業130年以上の歴史×新しい視点で挑戦中」というタイトルのもと、老舗企業の魅力を解説し、長寿企業がいかにして現代の課題に取り組み、新しい価値を生み出そうとしているのかを紹介しました。就活生のみなさんが「老舗企業も検討してみようかな」と思い、企業研究を深めるきっかけになれば幸いです。
スタートアップやベンチャー企業はもちろん面白い選択肢ですが、老舗企業もまた、歴史と安定を活かしながら変革を目指す“意外性”に満ちた世界があります。もし興味を持ったら、ぜひ実際に会社説明会やインターンに参加して、職場の雰囲気や社員の方々の姿勢を直に感じてみてください。そのうえで自分のキャリアビジョンと照らし合わせて、納得いく就職先を見つけていただければと思います。皆さんの就職活動が、素晴らしい出会いと充実した学びにつながることを心より応援しています。