みなさん、こんにちは。北九州で物流-130年の歴史を持つ小倉運送です。今回の記事では、「物流」に興味を持っている方はもちろん、「まだ特に意識していないけれど、何か新しい可能性を知りたい」という就活生のみなさんにも役立つ情報をお届けしたいと思います。
「戦略」と聞くと、経営企画やマーケティング、プロジェクトマネジメントなど、オフィス内でのデスクワークをイメージする方も多いでしょう。ところが、この物流の現場こそ、“戦略”の真骨頂といえるダイナミックなフィールドなんです。
モノを運ぶ過程には「どうすれば確実に、効率よく、無駄なく届けられるか?」という問いが常につきまといます。私たちが日々取り組んでいるのは、こうした問いに対して最適な解を導くこと。単純にモノを運ぶだけでなく、ルートや人員の最適化、在庫の調整、タイミングの見極めなど、ビジネスを成功へと導く考え方を総合的に駆使しています。
この記事では、そんな私たちの物流の“頭脳戦”とも言うべき日常を、配車計画・在庫管理を中心にご紹介します。また、ITやAIなどの先端技術が物流にどのように融合しているのかもお伝えします。読み終わった頃には、きっと「物流って、ここまで戦略的に動かしているんだ!」という驚きと、「自分もここでなら、新しい力を発揮できそうだ」というワクワクを感じていただけるのではないでしょうか。
はじめに、「物流」と聞いてどのようなイメージをお持ちでしょうか。おそらく、トラックの運転や倉庫での荷下ろしといった現場作業を思い浮かべる人が多いかもしれません。もちろんそれらは物流の大切な要素ですが、私たちのように企業を支える輸送を担っている立場からすると、それだけでは物流の本質に触れているとは言えないのです。
実は物流の現場には、「どの道を使えば最短距離か?」や「何時に出発すれば渋滞を回避できるか?」といった単純なテクニックを超える、“戦略性”が求められます。
たとえば、お預かりした貨物を運ぶ際に、トラックや鉄道に載せる順番や、運行ダイヤに合わせた積み込みのタイミングを誤ると、輸送スケジュール全体が乱れ、結果的にコスト増や納期遅延につながることもあります。逆に、余裕を見すぎると早く到着しすぎてしまい、次の行程を待つ時間や場所の調整が必要になり、無駄が生じる可能性もあるでしょう。
こうした綿密な計画づくりやリスク管理こそが、物流の現場においては大変重要です。単なる“体力勝負”の仕事ではなく、複雑なスケジュールや車両の稼働状況、そして鉄道の時刻表など多方面にわたる調整が求められるのです。
私たちが「物流は企業経営の要」と言う理由は、とてもシンプルです。モノが滞りなく流通するかどうかは、企業の利益やブランドイメージに直結するから。
こうした多角的な視点を踏まえながら、最適なプランを組み上げる。ここにこそ、「物流は戦略的だ!」と私たちが胸を張って言える理由があるのです。
では、実際に私たちがどのような業務を“総合指揮者”として担っているのか。ここでは、配車計画と在庫管理という二つの主要業務を例にご説明します。どちらも「体力勝負」だけで完結するものではありません。むしろ“頭を使う”側面が強く、企業経営に深く関わるポジションなのです。
■ 配車計画とは?
当社は主に鉄道・トラックを中心に行っています。例えば、トラック輸送であれば、そのトラックを「いつ」「どのルートで」「誰が」運ぶかを決めるのが“配車計画”の業務です。ちょっと想像してみてください。急にお客さまから大量の出荷依頼が来たら、どうルートを組み替えますか? ドライバーの休憩や安全を確保しつつ、納期を守るためにはどういう時間帯に出発すべきか? 長距離ならフェリーや鉄道を活用した方がいいかもしれない。こうした判断は、まさに「戦略思考」が問われる場面です。
■ どこが戦略なの?
「最短ルートを走ればいいんでしょ?」と思われるかもしれませんが、現実はそう単純ではありません。たとえば渋滞が想定される時間帯を避けるには迂回ルートを使う方が結果的に速いこともありますし、燃費を考えれば高速道路を活用した方がコストダウンに繋がることもあります。しかし、高速道路を多用すると通行料金がかさみ、逆にコストアップになる可能性も。また、「この距離のガソリン代ならトラックをやめて鉄道に切り替える方が安く済む」など、輸送距離や燃費・通行料金を踏まえて最適な手段を選ぶ必要もあります。
これらをすべて踏まえて、最良の配車案を組み立てるのが私たちの“司令塔”の仕事。毎日がパズルやシミュレーションゲームのようで、やりがいがありますし、実際に「うまくいった!」という手応えを感じやすいのも魅力です。
配車計画で最適ルートを組み立てることが物流の戦略の一つなら、もう一つの重要な戦略要素が「在庫管理」です。企業が扱う商品を「どこに」「どれだけ」「いつ出すのか」を見極めることは、コストとサービス品質の双方に深く影響を及ぼします。そこで当社では、倉庫を単に“モノを置く場所”ではなく、経営視点からコントロールする仕組みを整えているのです。
■ 3PLで実現する最適な在庫管理
在庫を保管するだけでなく、3PL(サードパーティ・ロジスティクス)という形で在庫管理をトータルにサポートしています。これは、入出荷の手配や運送方法の選定、「いつ、どれくらい商品を出すべきか」といったタイミングのコントロールまで、一元的に行う仕組みです。
具体的には、荷主企業(商品を持っているお客さま)と連携し、売れ筋や季節要因などを分析して、「この時期は在庫を増やしておきましょう」「このルートで出荷しましょう」といった物流戦略を提案します。当社は単なる倉庫の管理者ではなく、物流コンサルタントとして経営視点で最適な在庫バランスを追求し、コスト削減とサービスレベル向上の両立を図るのが特徴です。
ここまで読んで、「確かに物流は戦略的だとわかったけれど、それをどうやって現場で実践しているの?」と思う方もいらっしゃるでしょう。そこで、当社が戦略的視点を育てるために大切にしている文化や取り組みをご紹介します。
■ “モーダルシフト”って何?(※就活生向け解説)
モーダルシフトとは、従来トラック輸送が中心であった貨物輸送において、船舶や鉄道といったより環境負荷の低い輸送手段に切り替えることで、CO₂排出量の削減や交通渋滞の緩和を図る取り組みのことです。当社では、トラック輸送を主軸としつつも、早い段階から鉄道やフェリーを組み合わせる「モーダルシフト」に取り組んできました。
■なぜモーダルシフト?
・ 長距離をすべてトラックで運ぶと、ドライバーの負担が大きくなるだけでなく、燃費コストもかさみがち。
・ 鉄道やフェリーは、一度に大量の貨物を遠距離まで運べるメリットがあり、CO₂排出量もトラック単体より抑えられる場合が多い。
・ 交通渋滞や事故、災害時にもリスク分散ができ、納品遅延を減らせる。
このように、複数の輸送モードを使い分けると、コスト・環境・時間・安全面で大きな強みが生まれます。さらに、この柔軟な体制を支えるのは、「何がベストか?」を現場で常に考える姿勢に他なりません。モーダルシフトの成功体験は、当社のスタッフに「新しい方法を試してみよう」というチャレンジ精神をもたらしてくれています。
私たちは、戦略を上層部だけで決めて下に伝えるのではなく、現場からアイデアを汲み上げる風土を大切にしています。具体的には次のような取り組みを行っています。
営業所の責任者、経営陣が定期ミーティングを開き、各部 署が抱える課題や気づきを共有します。現場レベルで感じている問題点を経営が把握し、経営の考えを現場が知ることで、お互いの視野を広げ合うのです。
運行管理者などの資格取得を会社としてサポートし、受験費用の補助や勉強会を実施しています。資格勉強を通して体系的な物流知識を身につけられるだけでなく、視野が広がると「この工程を見直したらもっと良くなるのでは?」といった発想が出やすくなります。
現場スタッフの意見を積極的に取り入れることで、「私たち一人ひとりが会社の戦略に参加している」という当事者意識が育まれるのです。就活生のみなさんにとっても、自分のアイデアで現場が変わり、その結果が目に見えて会社に貢献するというのは、大きなやりがいに感じられるのではないでしょうか。
ここまで、「実際に人が頭を使ってこそ物流は戦略的」だとお話ししてきましたが、近年はAIやIoTといったIT技術が急速に進歩しており、私たちの仕事を大きく変え始めています。
■ AI配車の導入
当社では自動配車システムを導入しています。配車計画にAIを活用する取り組みを検討しています。具体的には以下のようなフローです。
このプロセスによって、従来は熟練の配車担当者の“経験と勘”に大きく頼っていた部分が大きく補強されました。未経験の社員や若手スタッフでも、AIの提案をもとに効率の良いルートを組みやすくなるのです。
■ リアルタイム管制の強み
加えて、GPSやIoTセンサーを搭載した車両から得られるリアルタイム位置情報を追跡しています。これにより、
■ ロボットで負担軽減
倉庫作業でも、ピッキング(商品の取り出し)や検品などをロボットが担う自動倉庫の導入が進んでいます。大量・重量物のピッキングをロボットが代行してくれるおかげで、作業者が腰や肩を痛めにくくなり、結果として仕事の安全性や持続性が高まります。ロボットは24時間稼働も可能なので、繁忙期の出荷量増大にも柔軟に対応できます。
■ “人間にしかできない仕事”が活きる
では、人間の役割は減ってしまうのか? 決してそうではありません。むしろ自動化が進むほどに、人間ならではの“臨機応変な対応”や“創造力”がより重要になります。
たとえば、「この商品は季節要因で需要が急増する」「この顧客は毎回少しだけ荷姿が違う」など、ロボットやAIが苦手とする細やかな判断や調整は人間が行います。私たちが推進しているのは、あくまで“人と機械の協働”。自動化が補う部分と、人間が得意とする柔軟性を掛け合わせることで、より効率的かつ高品質な物流を実現しているのです。
「物流=戦略」という視点で見たとき、実際に司令塔として働くにはどんなスキルが必要になるのでしょうか。ここでは、当社が特に大切にしている3つの要素をご紹介します。就活生のみなさんがご自身の強みや興味を考えるヒントになれば幸いです。
1. 課題発見と柔軟な対応力物流業界
では、不測の事態が日常茶飯事です。突然の大口注文や、天候不良によるフェリー欠航、トラックの故障、ドライバーの体調不良など、一つの予期せぬ出来事が全体の計画を大きく崩しかねません。そんなときに必要なのが、「問題はどこにあるのか?」「どうすればスムーズに解決できるのか?」を瞬時に見極め、柔軟に動く力です。
当社では、こうした突発的な課題に対しても、「誰かが決めてくれるのを待つ」のではなく、各スタッフが自分ごととして考えて行動できる風土を培っています。だからこそ、ミスや遅延が発生しても、すぐに原因分析を行い、対策を立案し、次回に活かすというサイクルが回ります。
データ分析と聞くと難しく聞こえるかもしれませんが、大切なのは「数値が示す意味」を考えること。グラフや表を眺めて終わりではなく、そこから導き出される仮説を現場で検証することで初めて活きた情報になります。当社は、こうしたデータを活かして論理的に思考する習慣を大事にしており、スタッフ同士でノウハウを共有しています。
3. コミュニケーションと調整力
物流は、多くの人や組織が関わる“チームスポーツ”のようなものです。たとえば配車計画であれば、ドライバーはもちろん、荷主(商品を持っている企業)や受け取り先、お客さまからの要望が絶えず飛び交います。倉庫管理でも、現場スタッフや外部パートナーとの連携が欠かせません。
こうした状況で成果を出すためには、“話しやすい”雰囲気と“聞く力”がとても大切です。ひとりよがりで計画を作ってしまうと、いざ動く段階になって「そんなスケジュールは無理!」と現場で混乱を招くことも。事前に周囲の意見を集め、自分の考えを伝え、納得してもらうというプロセスは、いわゆる“ヒューマンスキル”ですが、物流の戦略業務には欠かせない柱となっています。
ここまで読んでくださったみなさん、いかがでしょうか。「物流」と言うと、力仕事やトラックの運転ばかりに注目されがちですが、実は「どう運ぶか」「どこに置くか」「誰がいつ動くか」を考える“司令塔”の仕事が、企業や社会を支えているのです。
私たち小倉運送は、創業から130年以上の長い歴史を持ちながら、常に新しい技術や考え方にチャレンジし、柔軟に変化してきました。トラック・鉄道・フェリーを組み合わせたモーダルシフトや自動配車など、革新的な取り組みを積極的に取り入れつつも、最後は人間の“考える力”が要となる場面が多々あります。そこが私たちの仕事の面白さであり、やりがいでもあります。
「物流の仕事って自分にはピンとこないかも…」という方こそ、ぜひ一度、当社の説明会や職場見学に来てみてください。私たちの会社には、
みなさんが「こんなことをやってみたい」「こういう風に物流を変革できるかも」と思ったアイデアを存分に発揮できる環境が当社にはあります。私たちも、新しい視点を取り入れることでさらに成長していきたいと考えていますので、フレッシュな思考で臨んでもらえると嬉しいです。
もし、「物流って思っていた以上に奥深いかも」「自分の頭で考えて動かす仕事がしたい」と感じてもらえたなら、ぜひ私たちの門を叩いてみてください。会社説明会や職場見学などを通じて、実際の現場で働く先輩たちの話や雰囲気を感じ取っていただければ、「これが自分のやりたいことかもしれない」と、新たな発見があるかもしれません。
私たち小倉運送は、みなさんの意欲とアイデアを大切に育て、一緒に未来を動かしていきたいと願っています。単なる“モノの移動”ではなく、ビジネスや社会における重要なインフラとしての「物流」を、これからも革新し続けていく。その旅路に、ぜひあなたも加わりませんか?