私たちの生活に欠かせないコンビニやスーパーの商品、オンライン通販で注文した荷物など、多種多様な「モノ」が日々どのように運ばれているかを意識する人は多くないかもしれません。しかし、その背後には物流業界という大きな仕組みがあり、社会や経済を根底から支えています。私たちの“当たり前”を維持するために、物流業界では、多くのトラックや倉庫、スタッフが連携し、モノの流れを止めないよう奮闘しているのです。
ところが、近年の物流業界は、CO₂削減や排ガス規制など環境面での課題に直面しています。自動車やトラックなどの輸送手段から排出されるCO₂は、地球温暖化の一因とされ、社会からの批判の的になることも少なくありません。さらに、石油など化石燃料への依存度が高いことから、燃料価格の高騰リスクや、排ガス規制の強化によるコスト増も避けられない状況です。
こうした状況の中で、物流企業には単なる「モノを運ぶ存在」ではなく、「環境問題に責任ある対応を取る社会的インフラ」としての役割が期待されています。そこで注目されているのが、「モーダルシフト」という考え方です。モーダルシフトとは、トラックなどの陸路が中心だった輸送手段を、より環境負荷の少ない鉄道や船舶へ切り替える取り組みを指します。
私たち小倉運送は設立当初から鉄道輸送を強みとしている企業の一つです。小倉運送には、鉄道輸送を利用したCO₂排出量の大幅削減を狙う革新的な取り組みが存在します。本記事では、その取り組みの内容と、実際に推進している社員たちの姿を通じて、「環境にやさしい物流」がどのように実現されているのかをわかりやすく解説していきます。
大学生の皆さんは、就職先を選ぶ際に「社会貢献ができる仕事をしたい」「環境問題に取り組む企業を探している」という思いを抱くことがあるかもしれません。物流企業の中には、“ただ運ぶだけ”ではなく、環境と経済の両立を目指して先進的なチャレンジを行っている会社があるのです。
トラックはディーゼルエンジンやガソリンエンジンで走るため、CO₂や窒素酸化物などの排ガスを比較的多く排出します。一方、鉄道は電力や一部ディーゼル車両で動くため、同じ貨物を運ぶ際のCO₂排出量がトラックに比べて大幅に少ないとされています。
国土交通省のデータによれば、1トンの貨物を1km運ぶ際に排出されるCO₂は、トラック輸送が鉄道輸送の数倍になる場合があるという報告もあります。もちろん車両の高燃費化やエコドライブなど、トラック輸送自体の排出量削減策は重要ですが、長距離輸送の一部を鉄道に切り替えることで、より大きな環境負荷の軽減が見込めるのです。
たとえば、九州から関西方面へ大量の荷物を運ぶと考えます。すべてをトラックで長距離輸送すると、多数の車両が必要となり、燃料も大量に消費します。排出されるCO₂も相応に多くなります。
しかし、幹線区間を鉄道に切り替えてコンテナでまとめて運べば、トラックで走るよりもCO₂排出量を大幅に抑えられます。試算によっては、トラック輸送時の3分の1以下にまで削減できる事例もあるほどです。
ただし、鉄道だけではカバーしきれないケースも少なくありません。鉄道が通っていない地域の集荷・配達、短時間での納品が求められる緊急輸送、ルート調整や時間指定が必要な配送など、機動性が必要な場面ではトラックが不可欠です。つまり、トラックを完全に廃止するのではなく、状況に応じて双方を使い分けることが、現実的でありながら大きな削減効果を生むポイントなのです。
小倉運送は福岡県北九州市を拠点とし、創業130年以上の歴史を持つ老舗の物流企業です。長年培ってきた地域のネットワークを活かしつつ、新しい時代のニーズに合わせて常に進化を続けてきました。CO₂削減を目指すべく、長距離輸送での鉄道活用を積極的に推進しています。
とはいえ、小倉運送ではトラックをやめるわけではありません。緊急性の高い配送や、鉄道が通らないエリアへのアプローチなど「必要な場面」では、引き続きトラックが欠かせない存在です。こうしたハイブリッドな物流体制こそが、ヒトにも地球にもやさしいサステナブルな輸送を実現するための現実的なアプローチであり、小倉運送が取り組む環境貢献のメカニズムの中核となっています。
トラックから鉄道への輸送転換には、顧客である荷主企業や鉄道事業者との綿密な調整が不可欠です。どの区間でどのタイミングなら鉄道輸送が最適か、コスト面やリードタイム(配送にかかる時間)はどうなるか、といった多くの課題をクリアする必要があります。そうした交渉事はベテラン社員が担っているイメージがあるかもしれませんが、実は若手社員が積極的に携わっているのが、小倉運送の大きな特徴です。
たとえば、入社3年目の社員がモーダルシフトのコアメンバーとして、荷主企業との打ち合わせに参加するケースも珍しくありません。若い世代ならではの柔軟な発想力で、「従来のやり方」にとらわれず、効率的な輸送プランを考案していきます。新しいアイデアはベテランの知見と組み合わされ、現場で形になっていくのです。
では、若手社員はこの鉄道輸送推進の取り組みを通じて、どのようなスキルや成長を得ているのでしょうか。
鉄道輸送の推進という取り組みは、若手社員が「マネジメント力」「交渉力」「問題解決力」など幅広いビジネススキルを身につける絶好の機会です。小倉運送は、若手社員が積極的に挑戦できる環境を整え、社員の成長を全力でサポートしています。
鉄道輸送推進の取り組みは、大きなインパクトを伴う環境施策ですが、日常の業務でも環境貢献に取り組むことは可能です。小倉運送では、社員一人ひとりができる環境行動を奨励しています。
こうした活動を“会社全体”で取り組むことには、環境面以外にもメリットがあります。エコドライブや資源再利用など、社員同士が意識を共有し合う機会が増えるため、コミュニケーションの活性化に繋がるのです。
小倉運送では、定期的にドライバーや倉庫スタッフが集まるミーティングを開き、他社事例や省エネのアイデアなどを共有します。その際に「どうすればもっと燃費が良くなるか」「どんな工夫をすると電気代が安くなるか」といった意見が交換され、ちょっとした気づきが新しい取り組みに発展することもあります。
このように、環境貢献の意識が会社の文化として根づいていると、社員同士が前向きに協力し合う雰囲気が生まれます。結果として働きやすさが向上し、人材定着やサービス品質の向上にもつながるという好循環が生まれているのです。
今の時代、環境負荷を軽減する取り組みに真剣に取り組む企業は、取引先や消費者から高い評価を得やすくなっています。SDGs(持続可能な開発目標)への意識が高まる中で、環境に配慮しない企業は社会からの信頼を失うリスクが高いと言えるでしょう。一方、鉄道輸送の活用をはじめとした具体的な環境対策を打ち出す企業は、荷主企業や自治体から「一緒に取り組みたいパートナー」として選ばれる可能性が高まります。
また、環境にやさしい企業は、将来的な規制強化やエネルギー価格の上昇にも柔軟に対応できると見なされるため、安定的な成長を続けやすいという見方もあります。安定性が増すことで、社員にとっても「長く働きやすい会社」になることは言うまでもありません。
環境問題に真摯に取り組む企業で働くことは、社会貢献の面だけでなく、個人のキャリア形成にもプラスになります。先に触れたように、鉄道輸送へのシフトなどのプロジェクトは、交渉力やマネジメント力、データ分析力といったビジネススキルを幅広く磨く場となります。
さらに、環境に配慮した企業の社員として働くことで、「自分の仕事が社会や地球の未来に役立っている」というやりがいを得られます。これは、給与や福利厚生だけでは得られない内面的な満足感をもたらしてくれます。
物流業界は、一見すると“縁の下の力持ち”のように思えるかもしれません。しかし、その実態は、人々の生活や産業を支える極めて重要なインフラであり、同時に多くのCO₂を排出する責任を負うセクターでもあります。だからこそ、私たち小倉運送は「トラックから鉄道へ」という大胆な一手を、お客様へ提案し、環境にやさしい物流を実現するために全力で挑戦を続けています。
この挑戦は、社会や地球の未来を守るという大義だけでなく、社員一人ひとりの成長と働きがいにもつながっています。若手社員がイノベーションの中心となり、大きなプロジェクトを動かすやりがいや責任感を感じながら日々仕事に取り組んでいるのです。
大学生の皆さんの中には、「環境に貢献できる仕事がしたい」「地元や社会の役に立ちたい」と考えている方も多いでしょう。物流業界—とりわけ小倉運送のように前向きな変化を続ける企業では、その思いを実現するチャンスがたくさんあります。エコドライブや倉庫の省エネ化にとどまらず、鉄道を軸としたモーダルシフトなど、大規模かつスケールの大きな取り組みにも積極的に関われるのです。
もし「自分の力を社会のために発揮したい」「環境問題の解決に直接関わる仕事をしたい」という思いがあるなら、ぜひ物流の世界を覗いてみてください。小倉運送は、地域に密着しながらも新しい技術やアイデアを取り入れる柔軟性を重んじる会社です。若手社員の行動力や提案を大歓迎し、一緒に“環境にやさしい物流”の未来を切り拓いていきたいと考えています。
私たちと一緒に、物流業界から社会貢献にチャレンジしてみませんか?大きな意義を持つプロジェクトの中で、あなたならではの創造性を発揮し、充実したキャリアを築けるはずです。小倉運送は、これからも挑戦を続けていきます。そしてその旅路を共に歩んでくれる次世代の担い手を、心からお待ちしています。